ジュリアン有生の「徒然なるページ」

5月12日

 

第30回 出来の悪い親の子

「何だコイツ!」と思ってしまう人って結構いる。

昔ジュリアンの職場に“絶対謝らない人(仮称S子さん)”がいた。どんなミスをしても、上司に注意されると「はい。はい」とは言うのだが、「すみませんでした」とは絶対言わない。それどころか、ちょっとぶつかりかけた時など、普通の人なら反射的に口から出てしまう「あ、すみません」、これすら言わないのだ。

ジュリアンはS子さんと同じ職場となってしばらくして、その事に気付いた。

カドが立たないような口調で聞いた。「ねぇ、ねぇ、なんかさ、S子ちゃんって、ごめんなさいとか、すみませんとかって、絶対言わないね!」

驚く答えが返ってきた。「はい。お母さんが、ごめんなさいとか、すみませんとか、言っちゃいけないって家で言うから・・・」

「えー、何で?」ジュリアンは聞き返した。すると「何かね、謝ったらこっちが悪いって認める事になるから、謝っちゃダメって・・・」

 もう返す言葉が見つからなかった。そんな事を言って聞かす親がいるのだ。その後のやり取りはこうである。「ふぅ〜ん、お母さんは他にはどんな事を言うの?他にもあるの?」「う〜ん、あ、そうそう、他にはね、厚かましくいきなさいって、何事も。」「ふぅ〜ん。で、S子ちゃんは、そういうのってどう思うの?」「親の意見を聞いていたら間違いないと思うんで・・・」

そう言われてみれば、S子さんは会社で頂き物があった時、他の誰にも頂いた事を報告せず、自分のロッカーにしまいこんでいた事を思い出した。ある時、退社時にS子さんが何やら頂き物らしき紙袋を自分のロッカーから取り出し持って帰ろうとしている姿を見て、先輩OLの人が、「あれ、それ何?」と聞いた事があった。するとS子さんは「あ、今日皆さんがいない時、××さんが来て、“私に”ってくれたんです。それじゃ、お先に失礼します」と言い、さっさと帰ってしまった事があった。

××さんが、入社して間がないS子さんに「これを“あなたに”あげる」とは言わないであろう事は周囲の人にも、ジュリアンにもわかった。しかし、「誰もいない時“私に”ってくれたんです」と言われると、もう誰も何も言えなくなってしまった。

そして、こうした事は他にも2〜3回あった。

世の中いろんな人間がいるからおもしろい、という事も言えるのかもしれないが、こういった考え方の人間が側にいると、実に不愉快である。

結局、S子さんは会社で皆から嫌われ、辞めていった。おそらくどこへ転職しても、上手くやってはいけないだろう。これから先S子さんの長い人生、行き詰まりが来るはずだ。

S子さんのお母さんは、その時、S子さんに教えた様な発想をさらにアレンジして、S子さんの身が立つよう背後で策を講じるのだろうか。

これほどひどくはなくても、S子さんのお母さん的発想の人は世の中に結構存在しているのかもしれない。だとすると、親になるのも資格制・認定制にしなければならなくなってくるような・・・いやいやしかし、そんな事は絶対無理だ。

むむぅ、いったいどうすればいいのか。

とりあえず、こういう人から遠ざかると言うか、かかわらないようにするしかないのだろう。

よっちゃんは、ジュリアンが幼い頃、よく言っていた。「あのね、よその家の植木鉢とかガラス窓を壊したら、お母さん、誤りに行って弁償してあげられるけど、人の心や身体を壊したら、お母さんには弁償はできないのよ」「世間様から、お里が知れるというような事を言われる人間になってはダメなのよ。自分を辱めてはいけませんよ」「人間には品位と言うものが大切なのよ。」「覚えるだけでなく、自分で考えられる人間になりなさい。」
そんな風に言われて育ったジュリアンは、S子さんの様な事はできないし、しようとも思わない。S子さんのお母さんの「言い付け」は、いや〜な感じがしてしまう。

そういえば、今日は「母の日」、我が愛する「よっちゃんの日」だ。

カーネーションでも買って、久しぶりに顔を見に行ってあげよう!!

それでは、皆さん、行ってきま〜す!



 

 


  

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